第5回:【冬の胃腸トラブル】正月太りと「食べすぎ・誤食」が皮膚に及ぼす影響

5回:【冬の胃腸トラブル】正月太りと「食べすぎ・誤食」が皮膚に及ぼす影響

  1. 「食べすぎ」は内臓だけでなく皮膚にも出る

お正月休み、家族が集まる時期にやりがちなのが、愛犬への「お裾分け」や「おやつの与えすぎ」です。 消化容量を超えた食事は、腸内環境を悪化させます。実は、腸と皮膚は密接に関係しており(腸皮軸)、腸内細菌のバランスが崩れると、数日後に皮膚の痒みやベタつきとして現れることが科学的に証明されています。

  1. 1月に急増する「誤食」の危険

餅、チョコレート、ネギ類、ブドウなど、人間用の冬の食材は犬にとって毒性が高いものばかりです。

  • 初期症状: 嘔吐、下痢、よだれ、元気消失。 これらが見られたら、家庭で様子を見ず、すぐに動物病院を受診してください。
  1. リセットのための「引き算の管理」

食べすぎた後の数日間は、胃腸を休ませることが最優先です。

  • 食事の調整: 1回量を減らし、ぬるま湯でふやかして消化を助ける。
  • 皮膚の観察: 内臓の疲れは毛艶(ツヤ)に直結します。内側からのケア(食事制限)と外側からのケア(高濃度保湿による保護)を同時に行い、冬のダメージをリセットしましょう。

第4回:【パピーの皮膚管理】一生を左右する「パピー期」のスキンケア・新常識

4回:【パピーの皮膚管理】一生を左右する「パピー期」のスキンケア・新常識

  1. 子犬の皮膚は「未完成」なバリア

生後数ヶ月の子犬の皮膚は、成犬よりもさらに薄く、バリア機能が未熟です。この時期に間違ったケア(刺激の強い洗浄など)をしてしまうと、生涯続くアレルギー体質や敏感肌を誘発するリスクがあります。

  1. 「パピー用シャンプー」なら安心、という誤解

市販のパピー用製品でも、実は洗浄力が強すぎたり、香料が刺激になったりするケースが少なくありません。

  • 初期のトラブル: お腹周りのポツポツ(湿疹)や、耳の縁の乾燥。 これらは不潔だから起きるのではなく、バリアが未熟なために外部刺激に負けている「サイン」です。
  1. 的確な対処法:洗うよりも「育てる」

パピー期に重要なのは、皮膚を削ることではなく、正常なターンオーバーを助けることです。

  • 保湿の習慣化: シャンプーで洗う習慣よりも、低刺激で高濃度な成分で「バリアを補強する習慣」を先に身につけさせてください。
  • ブラッシング時のケア: 乾いた被毛をブラッシングすると静電気が起き、皮膚を傷めます。必ず保護成分を補給しながら行ってください。

第3回:【冬のシャンプー】洗いすぎが招く「慢性乾燥肌」への警告

3回:【冬のシャンプー】洗いすぎが招く「慢性乾燥肌」への警告

  1. 冬の皮脂は「貴重な資源」

夏場と違い、1月の寒冷期は犬の代謝が落ち、皮脂の分泌サイクルが遅くなります。この時期に夏と同じ頻度(例:2週間に1回)でシャンプーを行うと、皮膚を守るために必要な「天然の保護膜」が剥がされ、再生が間に合いません。

  1. 界面活性剤の残留リスク

冬のシャンプーで最も怖いのが「すすぎ残し」です。

低い室温でシャンプー剤が固まりやすくなっているため、毛の根元に残留しやすくなります。残留した洗浄成分は、24時間絶え間なく皮膚のタンパク質を破壊し続け、慢性的な赤みや痒みの原因となります。

  1. 的確な対処法:洗浄から「拭き取り」へのシフト

1月〜2月の間は、全身を濡らすシャンプーを「月1回」以下に抑えるのが理想です。汚れが気になる場合は、ぬるま湯に浸したタオルで汚れを浮かせ、吸い取るように拭き取る「ドライクリーニング」を推奨します。そして、拭き取った直後に、失われたバリアを補う「高濃度ケア」を行うことが、翌月の皮膚状態を左右します

【摩擦の恐怖】痒がる愛犬を「掻かせてはいけない」物理学的理由

20261月 第2回:【摩擦の恐怖】痒がる愛犬を「掻かせてはいけない」物理学的理由

  1. 痒みは「痛み」よりも制御が難しい

犬が痒みを感じて体を掻く時、その爪の先には凄まじい力が加わっています。薄い皮膚にとって、それは鋭利なナイフで削り取られているのと同じです。1箇所を30秒掻くだけで、数日かけて再生したバリア機能は一瞬で崩壊します。

  1. 炎症の連鎖:二次感染へのルート

掻くことで皮膚に微細な傷(マイクロトラウマ)ができると、そこに常在菌であるブドウ球菌が入り込み、異常増殖します。これが「膿皮症」の始まりです。

  • マスト細胞の暴走: 刺激によってヒスタミンが放出され、さらに強い痒みを呼ぶ「痒みのスパイラル」に陥ります。
  1. プロの管理:物理的な隔離と温度調節

痒みが出ている際は、まず「物理的に掻かせない」ことが最優先です。

  • 保護服の活用: 綿100%などの低刺激な服で皮膚を保護。
  • 室温を下げる: 犬は体温が上がると痒みが増幅します。室温を1〜2度下げ、局所的に冷やすことで痒みの信号を抑えることが、薬を塗る前の重要なステップです。

第1回:【冬の皮膚危機】加湿器だけでは防げない、犬の「超乾燥」の正体

1回:【冬の皮膚危機】加湿器だけでは防げない、犬の「超乾燥」の正体

  1. 1月の湿度が犬の皮膚を「砂漠」に変える

1月の日本、特に都市部では湿度が20%を下回る日も珍しくありません。人間が「肌が突っ張る」と感じる時、地面からわずか数十センチの高さで、暖房の温風を直接浴びている犬たちの皮膚は、限界を超えて乾燥しています。 犬の皮膚は人間の約1/3の厚さしかありません。この薄いバリアは、湿度が40%を切ると急激に水分保持能力を失い、角質が剥がれ落ちる「砂漠化」が始まります。

  1. 「加湿器」だけでは足りない論理的理由

多くの飼い主様が加湿器を回しますが、空気中の水分を上げても、一度壊れた皮膚バリアから水分が逃げるスピード(TEWL:経皮水分損失)には追いつきません。

重要なのは、空気中の水分を増やすことではなく、皮膚の表面に「水分を逃がさない物理的な膜」を張り直すことです。

  1. 的確な対処法:水スプレーの罠を避ける

乾燥しているからと、水道水や安価な水ベースの化粧水をスプレーするのは逆効果です。水分が蒸発する際、角質層の僅かな水分まで巻き込んで蒸発する「過乾燥」を招きます。1月のケアに必要なのは、水で薄まっていない「高濃度の保湿成分」を、物理的に定着させることです。