20261月 第2回:【摩擦の恐怖】痒がる愛犬を「掻かせてはいけない」物理学的理由

  1. 痒みは「痛み」よりも制御が難しい

犬が痒みを感じて体を掻く時、その爪の先には凄まじい力が加わっています。薄い皮膚にとって、それは鋭利なナイフで削り取られているのと同じです。1箇所を30秒掻くだけで、数日かけて再生したバリア機能は一瞬で崩壊します。

  1. 炎症の連鎖:二次感染へのルート

掻くことで皮膚に微細な傷(マイクロトラウマ)ができると、そこに常在菌であるブドウ球菌が入り込み、異常増殖します。これが「膿皮症」の始まりです。

  • マスト細胞の暴走: 刺激によってヒスタミンが放出され、さらに強い痒みを呼ぶ「痒みのスパイラル」に陥ります。
  1. プロの管理:物理的な隔離と温度調節

痒みが出ている際は、まず「物理的に掻かせない」ことが最優先です。

  • 保護服の活用: 綿100%などの低刺激な服で皮膚を保護。
  • 室温を下げる: 犬は体温が上がると痒みが増幅します。室温を1〜2度下げ、局所的に冷やすことで痒みの信号を抑えることが、薬を塗る前の重要なステップです。