うるおいのある肌とは、水分をきちんと保持している肌のこと。そのためには、肌の一番表面にある「角質層」にある、2つの成分が必要になります。ひとつは、角層内に並ぶ角質細胞をつなぐセラミドなどの「細胞間脂質」で、水分を挟み込んで保持する役割を担っています。もうひとつは、角質細胞内にある天然保湿因子「NMF」で水分を抱え込む性質があります。

この2つの成分がバランスよくそろっていれば、肌本来が持つバリア機能と水分保持機能が保たれて、うるおいのある肌がキープできます。でも、気温や湿度、生活習慣など、さまざまな原因によって、セラミドやNMFは減ってしまいます。その結果、肌の乾燥は進みます。

また、肌を覆う皮脂膜も大切な存在です。皮脂が足りないと水分が蒸発しやすくなり、ますます乾燥しやすい肌になってしまうのです。

 

 

カサカサするだけじゃない!肌の乾燥による悪影響の数々

乾燥が進むと、肌が生まれ変わる仕組みである「ターンオーバー」に不調が生じてしまいます。そうすると、角質細胞は未熟なまま、角層内に並ぶことになります。未熟な角質細胞はバリア機能も水分保持機能も十分ではないので、肌は乾燥の一途をたどることに……。
その結果、肌が乾燥してカサカサしてかゆくなるだけではなく、さまざまなトラブルが! 正常なターンオーバーができないために、肌の回復力が落ちて、肌荒れしやすくなります。また、外からの刺激に弱くなるので、菌が入って吹出物ができるほか、紫外線の影響を受けてシミやシワができやすくなります。

また、肌がゴワつくと、やわらかさの感じられない肌に……。表面がけば立った状態になるので、くすんで見えることもあります。さらに、皮脂が足りないと肌表面のツヤ感が損なわれて、老けて見える場合も

 

 

肌をやわらかくするために見直したいアイテム「乳液」

ここからは、乾燥肌のお手入れ方法を紹介します。
まず、初めに意識したいのは「かたくゴワついた肌をやわらかくする」こと。乾燥が気になったとき、美容液やクリームを追加しようとする方は多いと思いますが、どんなに質のよいアイテムを追加しても、かたい状態の肌に塗っていては効果半減でもったいない!

そこで最初に見直したいのは、乳液選びです。乳液は、クリームと一緒くたにされやすく「クリームを塗っているから、乳液はなくてもいいや」と省かれがち。でも、乳液とクリームは異なる役割を持っています。

乳液は、エモリエント効果といって、肌をやわらかくする成分が含まれています。それによって、美容液などのスキンケアで取り入れる成分は浸透しやすくなるほか、適度に含まれる油分が肌の上から蓋をする役割も。

現在は保湿効果だけでなく、浸透力の高さを謳っている乳液も多いので、肌がゴワついている場合は浸透力にも注目を!また、つけたあとに過ごす室内が乾燥していると、すぐに乾いてしまうので、少しベタついてでも、しっとりとしたテクスチャーの乳液を選ぶようにしています。

 

化粧水&乳液のつけ方を変えるだけで、保湿力アップ

洗顔後、最初に顔につける化粧水も、保湿のために大切なアイテム! 洗顔後の肌は、汚れとともに皮脂も落ちて敏感な状態。顔を洗ったあとはできるだけすぐに、化粧水をつけましょう。乾燥が気になるときは、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分を含む化粧水を選ぶとよいですよ(ただし、肌質に合わない場合は避けてくださいね)。
化粧水は少量を数回に分けてつけていくのがポイント! 私は少量を手のひらに広げ、顔の内側から外側へと優しく手でプッシュしながらなじませたら、同じことを3~4回繰り返します。

回数の目安は「肌が手のひらに吸いつく感触」がするまで。繰り返すうちに、肌がもっちりとしてきます。さらに時間があるときは、コットンを使ったローションパックを追加します。化粧水は惜しまずに、コットンの全面にしっかり吸わせましょう。コットンは乾燥しやすい箇所にのせ、3分ほど置きます。ちなみに「皮脂が多い場所だから」と思っている額は、年齢とともに皮脂量も減って乾いていることも。私はおでこにもローションパックをしています。

そのあと、乳液をつけます(美容液を使っている人は、化粧水→美容液→乳液の順に)。乳液は手のひらに出したら、両手のひらを重ねて乳液を人肌に温めてから塗ると、なじみやすくなります。ムラなく、顔全体にしっかりと伸ばしたら、乾燥が気になる部分(頬の高いところや口元)には少量を指で二度づけします。さらに、手のひらに残った乳液は、もったいないので首元に伸ばします(首も意外に乾燥しているんですよね)。

時間があるときは乳液でもローションパックを! 乾燥で肌がかたくなっている場合は、乳液の成分をしっかりと浸透させたいところ。化粧水と同様に、コットンの全面に乳液を塗り、乾燥しやすい箇所にのせて3分ほど置いてください。コットンを手で軽く押さえて、温めながらおこなうのもおすすめです。

 

 

体の内側からも保湿ケア!緑黄色野菜や必須脂肪酸を取り入れて

外側からのケアも大切ですが、体の内側からのケアも必要です。保湿力を高めるために、意識したい栄養成分があります。
まず、角質細胞内の天然保湿因子「NMF」はアミノ酸でできています。アミノ酸はたんぱく質の源なので、肉や魚などのたんぱく質を取り入れることはとても大切です。また、角質細胞をつなぐ「細胞間脂質」を構成する成分のひとつがセラミド。セラミドは必須脂肪酸によって作られるので、必須脂肪酸を含む食品もほどよく取り入れたいところ。さらに、ビタミンの摂取も必要です。

以上をもとに、保湿力アップのためにぜひ取り入れたい食材はこちら!

●アボカド…必須脂肪酸を豊富に含み、さらにNMFの生成をうながすビタミンAも含んでいます。
●サーモン…アミノ酸とオメガ3脂肪酸を豊富に含む食材です。
●くるみ…細胞膜の酸化を防ぐビタミンEとオメガ3脂肪酸を含んでいます。
●緑黄色野菜…ほうれん草やにんじんはβカロテンを豊富に含み、体内でビタミンAに変換されます。赤や黄色のパプリカには、ビタミンCが豊富です。

 

 

ほかにもまだある!乾燥肌になったとき、見直したいポイント

上記以外にも、肌の乾燥が気になったときに見直したいことはたくさんあります。

 

〇クレンジング&洗顔料の見直し…洗顔後、顔がつっぱる感じがしたり、すぐに顔が乾いてカサついたりする場合、使っているクレンジングや洗顔料が強すぎる可能性が。必要な脂まで取り除き、肌の乾燥が進んでしまいます。優しい洗い上がりのものを探してみて。

 

〇加湿器の見直し…今は高性能の加湿器がたくさん! 保湿効果を謳った、美顔器の性質も併せ持つ加湿器も出ています。エアコンつけると、空気中の水分がなくなって湿度が下がり、乾燥が進むので、使用時は加湿器を活用しましょう。

 

〇睡眠の見直し…美肌の大敵は睡眠不足! でも、睡眠時間はとれていても、質のよい睡眠を得られていないと成長ホルモンの分泌が妨げられ、肌のターンオーバーが正しくおこなわれません。ちょっと大きな買い物にはなりますが、思い切ってベッドマットや枕を見直すのも手です。

 

「いつの間にか、超乾燥肌になっちゃった!」と焦ってエステに行ったり、高価な美容液やクリームを追加したりする前に、できることはたくさんあります。普段の肌ケアや生活習慣を見直すことで、肌の質はぐんと上がるもの。身近なところから、乾燥対策を初めてみてくださいね。