今やスキンケア大国と言っていいほど、肌にこだわる日本人。日本製のスキンケア商品は海外でも高く評価されています。ですが、意外なことに日本における「スキンケア」の歴史はまだ浅く、一般的に「スキンケア」という言葉が使われるようになったのは昭和の終わりごろからで、平成になって定着したそう。

「海外では古代ギリシャの時代からスキンケア的化粧を”コスメティケー・テクネー”、メイキャップ的化粧を”コモティケー・テクネー”などと呼び、概念が言語的にも区別されていました。

 

日本では平安時代の書物に、美しくすること指して”けさう(化粧)”という言葉が記されています。江戸時代に書かれた『都風俗化粧傳』では、同じ「化粧」の漢字を使いながら、おしゃれ全般を「けわい」、メイクを「けしやう」と読み分けています。洗顔料の処方は「化粧下(けしやうした)あらい粉の傳」と記されています。つまりメイクの下準備として捉えられています。昭和になって”基礎化粧”と言葉が使われるようになりましたが、これも化粧のための基礎工事というニュアンスとして使われたもの。

日本において肌の健康のために行う”スキンケア”の概念や言葉が一般的に広く認識されたのは、平成初期といえるそうです。

ベタつきが嫌だから、日本人は乳液を使わない!?

日本と海外ではスキンケア化粧品に使われる基本材料にも違いがあるそう。とくに油への意識の違いが顕著で、日本人はベタつかない使用感を好み、化粧品の油分を敬遠する傾向にあるとか。
経済産業省の発表(2016年)によると、日本における化粧品の出荷金額は化粧水が1644億円に対し、乳液が695億円、クリームが783億円。このデータを見ても、日本人が化粧水を中心にスキンケアを行っていることがわかります。また、1つの化粧水に“しっとりタイプ”“さっぱりタイプ”など複数の商品があったり、テクスチャーにこだわるのも、油の苦手な日本人らしい特徴です。

この傾向は日本が湿度の高い風土であり、油をつけなくても肌が乾燥せず、潤いを気にしなくてもよかったことが影響している

江戸時代の化粧水は、白粉のノリを良くするための下地のようなものでした。明治時代に西洋の化粧品が入っても油分の多い乳液は好まれず、”栄養化粧水”というネーミングで普及が試みられていました。このような油分よりも水分を好む傾向は現代でも続いています。化粧水で保湿剤を、乳液で油分を補うのが肌のモイスチャーバランスを保つ秘訣です。しかし、日本人は化粧水しか使わない方が多いという傾向が強いです。

化粧水だけで済まさず、乳液で油分を補うのが基本のスキンケア。

乳液を忘れていませんか乳液つけ過ぎでベタつきが気になるなら、そのままにせずティッシュで軽くオフする方法もオススメです。